
2025年に年金制度が改正される
日本の年金制度は、日本の社会と経済の変化に対応するため5年ごとに見直しが行われます。次の年金制度改正は、2025年に行われることになります。 すでに厚生労働省から、見直し案が提出されています。2024年の国会での審議により検討が加えられて、改正された法律が2025年に実施される予定です。
2023年12月時点では、まだ国会で審議される前です。なので、法律として実施される内容は未確定であることに注意してください。それを踏まえた上で、改正の可能性が論じられているいくつかの点のうち、主要な2つを以下に挙げたいと思います。
改正案の1 国民年金の納付期間が5年延長か
国民年金とは、会社・学校・官公庁に雇用されている人以外の日本で居住する成人が全て加入する年金です。会社に雇用されると厚生年金に、学校・官公庁に雇用されると共済組合に加入することになり、雇用されている期間は国民年金とは別の制度の所属となります。
現在国民年金の納付義務は、60歳の誕生日までと定められています。 2023年11月、政府審議会は国民年金の納付義務を65歳の誕生日まで(つまり、64歳まで)に5年間延長すべきであるという提言を行いました。2025年の改正案に盛り込まれるかどうかは、今後の国会の審議に委ねられます。
日本の少子高齢化に伴って、年金納付者は不足しています。それで納付者の数を増やす措置として、60歳以降の方も厚生年金あるいは国民年金を納付し続ける改正案が予定されています。
改正案の2 短時間労働者への厚生年金適用の拡大
これも年金納付者の不足に対応するために、パートタイマーなどの短時間の労働を行っている労働者、とくに家庭の配偶者に厚生年金適用を拡大する案です。
現在の制度では、年間収入が106万円未満(一般の会社での雇用)または130万円未満(従業員数が少ない会社での雇用)である場合は厚生年金の対象外です。配偶者であれば、国民年金の第3号被保険者(*)の対象となります。
現在インターネットのブログや動画では、この年間収入の上限額をもっと引き下げてたとえば70万円程度にする案が提出される可能性が論じられています。もし実現すれば、パートタイマーなどの短時間の雇用を行っている配偶者の多数が、第3号被保険者から厚生年金の納付対象に切り替わることになります。ただしこのような改正が実行されたならば家庭および雇用主への負担(**)が大きく、反対意見が多数出されることは必至と予想されます。
2023年末現在では、短時間労働者への厚生年金適用の拡大案が2025年にどのように立法化されるかについては、まだ議論の決着が見られていません。
(*)厚生年金を納付している方の配偶者(妻または夫)が無収入あるいは一定水準以下の低収入である場合、年金の納付なしで国民年金の受給資格を与える制度。詳しくはブログのこの記事を参照。
(**)厚生年金納付額の半分は雇用主が負担するので、厚生年金納付者の増加は雇用主にとってコスト増となります。
非日本国籍の人への影響
今回の改正案が実現された場合、非日本国籍の人への影響を挙げると以下の点があるでしょう。
- 永住者など長期滞在の方を除けば、非日本国籍の方は労働ヴィザによる日本滞在であり、大多数が厚生年金に加入することになります。厚生年金の年齢上限は現在すでに70歳であり、国民年金の5年延長は影響がありません。
- もし短時間労働者への厚生年金適用の拡大が実現されるならば、現在厚生年金の対象外である年収の少ない配偶者が、厚生年金の納付に切り替わる可能性があります。非日本国籍の方は出国後に厚生年金の脱退一時金を受け取ることができるので、厚生年金を新たに納付することになった場合は脱退一時金の申請を考えてください。
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