国民年金と厚生年金
日本の年金制度は、世界の中で特殊なものとなっています。「国民年金」と「厚生年金」との二つの年金制度が存在しています。厚生年金は、雇主に雇用されている従業員だけが加入します。国民年金は、それ以外の居住者全員が加入します。この二つはともに国が運営していますが、納付と支給の内容が全く異なっています。
従業員が加入する厚生年金は、毎月の給与および不定期に支払われるボーナスから差し引かれます(源泉徴収)。差し引かれる金額は、給与およびボーナスの金額に比例します(ただし上限あり)。
いっぽう国民年金は、居住者が自分で納付します。加入者には日本年金機構(日本の年金事務を担当する特殊法人)から納付の通知が送られるので、銀行あるいはコンビニエンスストアで支払うことができます。源泉徴収は行われないので、加入者じしんが納付します。納付する金額は、所得に関係なくすべての居住者で同額であることが原則とされています(*)。
(*)ただし、低所得者、学生、配偶者や家族などの被扶養者については、一部あるいは全額が免除されます。
日本に在住する非日本国籍の方は、日本の会社に雇用されている場合は厚生年金の対象であり、配偶者、学生、または日本企業の従業員でない永住者・定住者などの場合は国民年金の対象となります。
厚生年金は国民年金よりも「多く納付し、多く受取る」制度
厚生年金は給与およびボーナスの金額に比例するために、毎月の納付する金額が比較的多額に設定されています。その代償として、65歳から受け取ることができる老齢年金の金額も多くなります。日本で短期間雇用されている非日本人は、多くが出国後に「脱退一時金」を申請します。厚生年金の脱退一時金は、やはり金額が大きくなります。
いっぽう国民年金は納付額が所得に関係なく一定です。しかも、納付額は厚生年金に比べて比較的少額に設定されています。その代償として、老齢年金および脱退一時金の金額は少なめになります。
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