
厚生年金の脱退一時金は国民年金よりも金額の変化が大きい
年金の脱退一時金は、以下の条件を満たしていると請求できます。
- 日本国籍を持たないこと。
- 6ヵ月以上年金を納付していること。
- 年金の加入期間が10年未満であること。(*)(**)
- 日本の住所を抹消して出国していること(***)。
(*)年金を納付した期間、学生などの理由で納付免除された期間、3号被保険者期間の総計です。3号被保険者については、ブログのこの記事を参照。 (**)ただし永住者については、より狭い条件となります。ブログのこの記事を参照。 (***)ヴィザの有効期間である場合には、市町村の役所に転出届を提出してから出国することが必要です。ブログのこの記事を参照。
脱退一時金を請求できる年金は、国民年金、厚生年金、共済組合の三種類です。
同じ月数だけ年金を納付した場合、それぞれの脱退一時金の金額は以下のようになります。
年金の種類 | 脱退一時金の金額 | 課税 |
国民年金 | 少 | なし |
厚生年金・共済組合 | 少~大(標準報酬月額の平均によって変化) | 20%(*) |
(*)納税管理人を指定すれば、ほぼ全額を還付申告できます。納税管理人についてはブログのこの記事を参照。
厚生年金(および共済組合)の脱退一時金の特徴は、標準報酬月額の平均に応じて金額が変化することです。 標準報酬月額とは、おおむね月間給与とほぼ同じと考えてよいです(ただし上限がある。詳しくは、ブログのこの記事を参照)。 したがって、月間給与の平均額が少ないと、脱退一時金の金額は少なくなります。逆に月間給与の平均額が大きいと、脱退一時金の金額は国民年金に比べて相当に大きくなります。
脱退一時金の金額は納付済みの金額に応じて変化する
厚生年金の脱退一時金の金額が大きくなる理由は、上に挙げた標準報酬月額に応じて厚生年金の納付額が大きく変化するからです。
言い換えるならば、月間給与が大きい従業員は、国民年金に比べると1か月当たりの納付額がかなり大きくなります。従業員は厚生年金の納付額を源泉徴収されるために、毎月支払われる給与からはすでに厚生年金が差し引かれています。厚生年金は給与が大きい従業員の納付額が大きくなる制度であるために、脱退一時金で払い戻される金額も国民年金に比べると大きくなる場合が多くなります。
逆に言うと国民年金の脱退一時金は、厚生年金より比較的少ない納付額に対する払い戻しとなるので、金額が厚生年金よりも比較的少なくなります。小規模の会社では、一部の従業員を厚生年金に登録せずに国民年金のままにしておく場合があります。その場合、従業員であっても脱退一時金の金額は比較的少なくなります。

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